
公共調達の動向は、中小企業や建設業にとって重要な指標のひとつです。
今回の調査では、2025年8月の入札・公募件数が直近12か月で下位水準にとどまったことが明らかになりました。特に建設関連分野の落ち込みが目立ち、業界全体の先行きに不安を感じさせる結果となっています。
8月の入札・公募件数は81,738件
株式会社ズノーが提供する入札情報サービス「入札王」によると、2025年8月の入札・公募件数は 81,738件 でした。
前月比で22.7%減、前年同月比でも7.6%減となり、直近12か月で下位水準に位置します。2025年1月や2月には10万件超を記録していたことからも、8月は明らかに低調な結果となりました。
建設分野の減少が顕著に
業種別にみると、特に建設関連の落ち込みが目立ちます。
- 土木工事:14,434件(前月から約2,000件減)
- 設計・測量:9,570件(大幅減少)
- 空調・給排水・電気設備:軒並み減少
一方で「燃料・ガス・油脂及び工事」は1,188件と増加しており、一部の分野では需要が伸びていますが、全体としては建設分野の減少が全体件数を押し下げています。
入札予定情報は20,233件と大幅減
8月の入札予定情報は 20,233件 にとどまりました。
前年同月比で13.4%減、前月比では70.0%減という大幅な落ち込みを示しています。例年と比べても低水準で推移しており、今後の動向に注目が必要です。
調査概要と「入札王」について
今回の調査は、全国の公共機関が公示する案件を「入札王」のデータベースから分析したものです。
「入札王」では、無料トライアル版として直近3年分の入札・公募・落札情報の提供を実施しています。
運営者所感
今回の調査結果を見ると、入札件数の減少は単月の変動に過ぎない可能性もありますが、建設分野の落ち込みが複数業種に広がっている点は見逃せません。資材価格の高止まりや人手不足といった構造的な要因も背景にあり、業界全体での影響が懸念されます。
企業としては「一時的な減少」と「構造的な縮小」のどちらなのかを冷静に見極めることが求められます。特に中小企業にとっては、情報収集と柔軟な対応が今後の生き残りを左右するでしょう。