
大分県の宇佐市・豊後高田市・国東市が共同で建設した新しいごみ処理施設の運転業者をめぐり、「価格で決めるか」「技術力も加味するか」で3市長の意見が分かれています。
一般競争入札と総合評価方式――。
どちらを採用するかによって、コストや品質、さらには地域住民への影響まで変わる重要な選択です。
入札方式をめぐる対立:価格重視か、品質重視か
記事によると、3市による広域事務組合では、運転業務の委託業者を決定するための入札方式を協議しましたが、結論は持ち越しとなりました。
豊後高田市の佐々木市長は「価格競争を重視する一般競争入札」を主張する一方、宇佐市の後藤市長は「実績や技術力を評価する総合評価方式」を求めています。
一般競争入札は透明性が高く、価格を抑えられるという大きなメリットがあります。
しかしその反面、価格のみで決まるため、「安かろう悪かろう」になってしまうリスクも指摘されています。
一方、総合評価方式は、企画力や技術力、過去の実績なども加味するため、品質面での安心感が得られる一方で、入札準備の負担が大きく、参加ハードルが上がるという課題があります。
地域間調整の難しさ
今回のケースでは、施設の立地が宇佐市であることもあり、「どの市の意見を優先するか」という地域間の調整も複雑さを増しています。
松井・国東市長の折衷案をもとに協議する予定だったものの、豊後高田市から新たな案が出されたことで、話し合いは幹事会レベルに移ることになりました。
12月1日の本格稼働を目指す中で、方式決定の遅れが施設運営スケジュールに影響する可能性もあります。
単なる“方式論”にとどまらず、スケジュール管理と地域協調のバランスも問われている状況です。
運営者所感
今回のように、価格と品質のどちらを優先するかという議論は、公共調達の現場では避けて通れません。
短期的に見れば、価格を重視する方が行政コストは抑えられます。
しかし、ごみ処理施設のように長期的な運転管理が求められるケースでは、技術力や安全性を重視した評価が不可欠だと思います。
総合評価方式は手間がかかる一方で、トラブルや事故のリスクを減らし、長期的なコスト削減にもつながります。
一方、単純な物品調達や短期契約であれば、一般競争入札でも十分です。
つまり、「どちらが良い」ではなく、「案件に応じて選ぶ」姿勢が大切です。
今回の協議も、制度論争ではなく“地域の最適解”を探る機会になることを期待したいと思います。