入札ニュース考察

【入札考察】デジタル庁が国産AIを再公募 ─ 「源内」が示す新たな政府調達の方向性とは

入札ニュース考察

デジタル庁は、政府の生成AI基盤「ガバメントAI『源内』」で利用する国産LLM(大規模言語モデル)の2027年度向け公募を実施すると発表しました。

前回は無償試用を前提とした募集でしたが、今回は正式な政府調達として有償契約へ移行します。また、評価方法も大きく見直され、行政実務に即した能力を確認するための評価テストが強化されることになりました。

近年、自治体や官公庁でもAI活用への関心が急速に高まっていますが、その一方で「どのような基準でAIを選定するのか」という課題も浮上しています。

本記事では、今回の公募内容を整理しながら、公共調達の観点からどのような意味を持つのかを考察します。

ニュースの概要

デジタル庁は、2027年度に利用する国産LLMの公募を2026年11月に実施する予定です。

今回の特徴は、前回の実証的な無償利用から一歩進み、正式な政府調達として有償契約を前提に募集する点にあります。

応募できるのは1社につき1モデルで、ガバメントクラウド上で動作することが条件です。

提出資料では、モデルの概要だけでなく、行政業務での活用方法や外部ツールとの連携機能、主要なフロンティアモデルとの性能比較、学習データの法令遵守状況、料金体系なども求められます。

また、選定にあたって実施される評価テストも大幅に強化されます。

前回は試験当日に問題内容を開示し、50問で評価していましたが、今回は評価方法を事前に公開した上で300問へ拡充。法律・制度、日本語理解、行政課題など行政実務に関連する35項目の能力領域について評価が行われます。

ガバメントAI「源内」とは何か

ガバメントAI「源内」は、デジタル庁が整備を進める政府職員向けの生成AI基盤です。

行政文書の作成支援や情報整理、調査業務の効率化などを目的としており、政府機関が安全に生成AIを利用できる環境の構築を目指しています。

一般的な生成AIサービスをそのまま利用するのではなく、政府のセキュリティ要件や運用ルールに対応した環境として整備されている点が特徴です。

今回の公募は、その中核となる国産LLMを選定するための取り組みであり、単なるAI導入ではなく、行政インフラの一部を構築する調達案件として位置付けることができます。

評価方法の見直しが示すもの

今回の公募で特に注目されるのは、評価方法の見直しです。

生成AIの性能評価では、一般的なベンチマークスコアが用いられることが多くあります。しかし実際の行政業務では、単純な知識量だけではなく、法令解釈や制度理解、日本語による正確な文書作成能力などが求められます。

そのためデジタル庁は、標準的なベンチマークだけでは測れない行政実務能力を重視し、評価問題を50問から300問へ大幅に増やしました。

さらに評価方法を事前に公開することで、応募事業者が準備しやすい環境を整えています。

公共調達では「公平性」「透明性」が重要視されますが、今回の取り組みはAI調達においてもその原則を適用しようとする試みと見ることができるでしょう。

AI調達における競争環境の整備

AI市場は急速に成長していますが、公共調達における評価手法はまだ発展途上の段階にあります。

そのような中で、今回の公募は単に優れたAIを選ぶだけでなく、評価基準そのものを整備していく過程とも言えます。

特に注目したいのは、評価方法を公開し、複数の事業者が同じ条件で競争できる環境を整えようとしている点です。

公共調達では、仕様書や評価項目が不透明な場合、参加事業者が限定される可能性があります。

一方で、今回のように評価方法を明示することで、参加企業は求められる能力を把握しやすくなり、より多くの事業者が挑戦できる環境づくりにつながります。

今後、AI関連の調達案件が増加する中で、このような評価手法は他省庁や自治体にも参考事例として波及していく可能性があります。

運営者所感

今回のニュースで興味深いのは、デジタル庁が「どのAIが優秀か」だけではなく、「どのように評価するか」にも力を入れている点です。

入札や公募では、評価基準の設計そのものが結果を左右します。

従来のシステム調達であれば機能要件や価格比較が中心でしたが、生成AIの場合は性能の測定方法そのものが難しいという特徴があります。

だからこそ、今回のように評価手法を公開しながら試行錯誤を続けている姿勢は非常に重要だと感じます。

また、有償調達へ移行したことは、生成AIが実証実験の段階から実運用の段階へ進みつつあることを示しています。

今後は国だけでなく自治体においても、AIを活用した業務効率化や行政サービス向上のための調達案件が増えていくかもしれません。

その際、今回のデジタル庁の取り組みは、一つのモデルケースとして注目されることになりそうです。

最後に

生成AIは日々進化を続けていますが、公共調達の世界では「性能が高いこと」だけでなく、「公平に評価できること」も同じくらい重要です。

今回のデジタル庁の公募は、AIを導入するための調達という側面だけでなく、AI時代の新しい評価制度を模索する取り組みとしても注目に値します。

今後、国や自治体のAI調達がどのように発展していくのか。入札・調達に関わる事業者にとっても、継続的に追いかけておきたい動きと言えるでしょう。

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関連リンク

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ガバメントAI「源内」-デジタル庁

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