中小企業・個人事業主の方へ。入札は“特別な世界”ではありません。この記事では、初めてでもわかる公共事業の受注方法や手続き、実際に落札している小規模事業者の事例を交えて、入札参加の第一歩を丁寧に解説します。多くの人が「自分には関係ない」と思いがちな入札の世界ですが、実は“誰にでも開かれた販路”として近年注目を集めています。
■ なぜ今「小さな会社の入札参加」が注目されているのか?
「入札」と聞くと、大手企業や特別な許可を持った業者しかできない印象を持っている方も多いでしょう。しかし、実際には中小企業や個人事業主でも応募できる案件が多数存在しています。
さらに、近年の変化で以下のような傾向が生まれています。
- 地方自治体では“地元企業”との連携を強化中
- オンライン申請の普及で手続きが簡素化
つまり、「入札=大手向け」といった考え方は過去のものとなっています。
■ 実際に中小企業が受注した公共入札の事例
事業者 | 受注内容 | 落札金額(目安) |
---|---|---|
地元の清掃業者 | 市営公園の清掃業務 | 年間約120万円 |
フリーランス映像作家 | 市の観光PR動画制作 | 60万円/本 |
印刷会社 | 小学校用教材冊子印刷 | 約90万円 |
このように、大がかりな工事案件ばかりでなく、比較的低予算・短納期・専門性が分かりやすい案件が数多く存在しています。
■ 初心者向け:入札参加までの4ステップ
ステップ1:入札情報サービスで案件を探す
まずはどんな案件があるのかを知ることが第一歩です。
自治体のホームページを見て探すことは大変なので、入札情報を提供しているサービスを利用して、自社にマッチした案件がどれくらい発注されているか見てみることをオススメします。ほとんどのサービスが一定期間お試しをすることができます。入札情報サービスは複数ありますので、以下のページを参考にしてください。
ステップ2:入札参加資格(競争参加資格)の登録
入札に応募するには事前登録が必要です。これを「競争参加資格登録」といいます。
提出書類の一例
- 登記簿謄本(法人の場合)
- 納税証明書
- 決算報告書/確定申告書の写し
- 業務実績一覧
自治体ごとに形式が異なるため、「○○市 入札参加資格」などで検索して、該当ページから申し込みを進めていきます。複数の自治体が共同運営しているサイトがある場合は、1回の申し込みで参加している自治体の申請が一括で完了するケースもあります。
ステップ3:公告案件に応札(入札書・提案書提出)
案件の「仕様書」を熟読し、納品内容や金額、納期などに無理がないかを確認した上で応募します。
主な提出書類
- 入札書
- 提案書(必要な場合)
- 誓約書など
金額の大小のみで落札金額が決まる入札方式は、入札参加のハードルが低いと言えます。
ステップ4:落札・契約・業務遂行
落札者に選ばれると、正式な契約書を交わし、業務をスタートします。公共案件は支払いの確実性が高く、与信も安心です。なお、落札後の契約不履行には厳しいペナルティがあるため、できること・できないことは明確にしておくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q:入札って個人事業主でも参加できるんですか?
A:はい、可能です。
法人・個人事業主問わず登録可能です。フリーランスであっても動画制作、翻訳、講師派遣などで実際に受注例があります。
Q:参加資格を取るのは難しい?
A:書類準備が必要ですが、難しくはありません。
特に最近ではオンラインで申請できる自治体も多く、会社や自宅からでも申請を進めることができます。
Q:1件も落札できないと損じゃない?
A:応募した経験が“信頼の蓄積”になります。
入札に不慣れな業者が落選するのは珍しくありません。しかし、「過去に応募したことがある」ことで、次回の案内や指名競争入札で声がかかることもあります。
Q:大手企業も参加していたら、結局勝ち目はないのでは?
A:入札は「参加資格の等級制度」によって、企業の規模や実績に応じたカテゴリごとに案件が分かれています。
多くの自治体では、入札参加者を「A・B・C・D」などの等級に分け、それぞれの等級に応じた金額帯や規模の案件しか応募できない仕組みになっています。
そのため、大企業がA等級で高額案件を狙う一方で、中小企業や個人事業主向けには、より取り組みやすい規模の案件が設けられているのが一般的です。競合も同じ等級の業者に限定されるため、公平な条件のもとで受注のチャンスがあります。
まとめ:入札は“成長を加速させるもう一つの販路”
「小さな会社だから、うちは無理」そんなふうに思っている企業こそ、一度入札案件に目を通してみてください。意外とマッチする案件が見つかるはずです。
地方創生、デジタル化、インバウンド対応…自治体のニーズは多様化し、中小事業者の専門性が強く求められています。あなたのビジネスに、新しい柱を加えるチャンスは、すでに始まっています。
ご案内
広く情報を収集する場合は、入札情報サービスを利用して収集することをおすすめします。入札情報サービスはいくつか存在しますが、その多くが無料でお試しができるようになっています。気になるものがあればお試しで利用をして、自社にとって利便性の高いサービスを選びましょう。
当サイトでは様々な入札情報サービスをランキング形式で紹介しています。料金や収集対象の違いなどをより詳しく紹介していますので、興味のある方はおすすめの入札情報サービスをランキング形式で紹介!もご覧ください。