
広島市が進める中央公園ファミリープールの再整備を巡り、管理・運営を担う事業者の公募条件案が示されました。
ファミリープールは2026年8月末に閉園しており、今後は新たな施設への再整備が進められる予定です。
新施設には、ウォータースライダーなどのプール設備に加え、屋内の遊び場や屋外の大型遊具などを設けることが求められています。単純にプール機能を更新するだけではなく、子どもや家族が年間を通して利用できる施設を目指す内容となっています。
事業者の公募は2026年10月から始まり、2027年4月に事業者を決定。その後、整備を進め、2032年のオープンを予定しています。
事業の上限額は70億3000万円。さらに特徴的なのが、設計から施設完成後の管理・運営までを一つの企業グループが一体的に担い、指定管理期間が20年間に設定されている点です。
「建てて終わり」ではない長期型の公募
今回の公募を入札・調達の視点から見ると、施設整備だけを競う事業とは性質が異なります。
今回の事業では、設計・建設・維持管理・運営を一体的に担う「DBO方式」が採用される予定です。
一般的に大規模な公共施設では、設計、建設、完成後の管理・運営などを別々の契約として発注するケースがあります。一方、今回のファミリープール再整備では、設計・整備と、その後の長期的な管理・運営を同じ企業グループが担うことになります。
つまり事業者側には、施設を完成させる能力だけでなく、20年間にわたって利用者を呼び込み、施設を維持しながら運営していく視点が求められることになります。
例えば、どのような施設デザインにするのか、どれくらいの利用者数を目標とするのか、どのようなイベントやサービスを展開するのかといった部分も、事業の成否に関わる重要な要素になると考えられます。
価格だけでは決まらない「提案力」の評価
今回の公募では、応募者から提出された事業計画を33項目で評価する方針が示されています。
評価対象には施設のデザインや目標利用者数などが含まれ、さらにナイトプールといった独自の取り組みも評価される予定です。
ここで注目したいのは、単純に「一番安く施設を整備できる事業者」を選ぶという考え方ではないことです。
公共施設の場合、初期費用を抑えることは重要ですが、長期間にわたって利用され続ける施設にするためには、使いやすさや魅力、集客力、運営の継続性なども重要になります。
そのため今回のような公募では、価格に加えて「完成後にどのような施設として運営するのか」を具体的に示せるかどうかが、事業者選定におけるポイントの一つになると考えられます。
事業者側から見た公募のポイント
このタイプの公募では、建設会社だけでなく、施設運営会社やレジャー関連企業、設計会社など、複数の専門分野を持つ企業によるグループ形成が重要になる可能性があります。
施設を設計する側と、実際に利用者を集めて運営する側では、必要となるノウハウが異なるためです。
また、指定管理期間が20年間と長いことから、応募時点の提案だけではなく、その後の維持管理や持続可能な運営、利用者ニーズの変化なども考慮する必要があります。
例えば、開業直後には人気だった設備やサービスが、10年後、15年後にも同じように支持されるとは限りません。長期間の運営を前提とするなら、将来的な改修やサービスの見直しまで考えた計画が求められる可能性があります。
運営者所感
今回のニュースは、公共施設の公募が「建物をつくるための発注」から、施設を長期間にわたって活用するための事業者選びへと広がっていることを考える材料になるのではないでしょうか。
特に20年間という指定管理期間を考えると、応募する企業にとっては、一度受注して終わる案件とは大きく異なります。施設の魅力を維持し、利用者を確保しながら運営を続けることまで含めて事業計画を考える必要があります。
また、ナイトプールのような独自提案が評価対象になる点からも、発注者があらかじめ決めた仕様をそのまま実行するだけではなく、「この施設をどうすれば利用してもらえるか」という事業者側の発想を取り込もうとしているように見えます。
今後、公共施設の整備でも、価格だけでは測りにくい「企画力」「運営力」「利用促進策」などが評価される案件が増えていく可能性も考えられます。
最後に
今回のファミリープール再整備は、70億3000万円という事業規模だけでなく、設計・整備から20年間の管理・運営までを一体として公募する点に特徴があります。
入札や公募というと、「提示された仕様に対して、いくらでできるかを競うもの」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし今回のような事業では、「いくらでつくるか」だけでなく、「つくった施設をどう活用し、長く運営していくか」まで含めて提案することが重要になります。
今後、公共施設の整備をめぐる公募を見る際には、予定価格や事業規模だけでなく、どこまで事業者側の提案を求めているのか、そして完成後の運営をどのように設計しているのかにも注目すると、案件の特徴がより見えやすくなるでしょう。
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